重版出来の面白さ・これからの出版業界はどうなる?


こんにちは。
ネット集客アドバイザーのツユキサトシです。

今週、TBSで放送されていたドラマ「重版出来!」が最終回を迎えました。視聴率はそこまで高くなかったですが、出版業界に縁がある人、漫画が好きな人には楽しめる内容だったのではないでしょうか?

私自身も畑違いではありますが、編集者をやっていたので今回のドラマはとても共感するところがあったり、「あるある!」と思える編集者ネタもたくさんありました。今回は面白かったと思ったところでも、特にリアルだと感じた部分を紹介していこうと思います。

良かったところ1:出版社就職の理想と現実

重版出来を見て、「編集者ってやりがいのある仕事だな!」と思う若者もいるかもしれません。ちょうど大学生でこれから就活という人には輝かしい世界に見えるかもしれません。

でも、そういう人には第2話をもう一度、見返して欲しい。

坂口健太郎さんが演じる営業部の小泉が編集部に配属された主人公に嫉妬をする場面です。これは出版社あるあるだと思います。おそらく多くの学生が出版社を志し、編集部を希望をすることかと思います。でも編集部の枠は限られている。きっとこういうことは現実でも起こっていることだと思います。

だから、これから出版社を志す人には、こういうことも起こるということを覚悟して、就職試験をするべきだと思います。ただし、誤解のないように書いておきますが、決して営業部の仕事がつまらないというわけではありません。私も出版社に入社した当初、研修の一環として営業部の方に同行して、書籍の配置の工夫など聞かされて、とても感心した覚えがあります。

このドラマで非常に良いと思ったのは「商品を売る」という軸を大切にしているという点です。編集部志望だとどうしても「良い作品をつくる」というような志望動機ばかりが先行しがちです。しかし、その根底には「商品を売る」という軸があり、その目的に対しては営業部・編集部の違いはないということです。

ですから、編集部を志望する際に「良い作品をつくる」というありがちな部分だけにフォーカスするのではなく、「商品を売る」という部分も意識することが大切です。売れない作家がどうなってしまうのかということもこのドラマを見ていればわかるはず。編集者になっても、「いかに売るか?」という視点は忘れてはいけないポイントです。

良かったところ2:ネットで売れ行きが動き出す

そして、もうひとつのポイントは「ネットでの反響が売れ行きを左右する」という点ではないでしょうか。

象徴的だったのは、最終回で主人公が担当する『ピーヴ遷移』が有名作家の1つのツイートから爆発的にヒットするというシーンです。残念ながら、今は書店に足を運ぶ人も少なくなりましたし、雑誌の売れ行きも少なくなってきています。そういった中で書籍に対する評判が交わされるのは主にネットです。

この点については、ビジネス書でも同じです。ビジネス書の場合はTwitterで話題になるということはありませんが、著名な作家ですとネットから動きをつくっていくというのは常套手段です。

やはり、この作品の根底である「商品を売る」、そして「作品を重版させる」という部分がここでも徹底しており、いくらいい作品をつくっても売れるための努力をしていかなければ売れないですし、その努力をしてもある意味、運次第という残酷な部分も表していると思います。

この作品のネットとの連動という意味では、安田顕さんが演じる安井がネットから漫画家を発掘している点は非常に面白かったです。現実世界でいうところのpixivのようなイラスト投稿サイトで才能を発掘し、登用しているというところ。これが現実の漫画編集部で行なわれているのかはわかりませんが、考えてみれば、有名ブロガーがどんどん書籍を出す時代ですから、ありえない話ではないのかもしれませんね。

出版業界のこれから

最後に出版業界にいた人間として「これからの出版業界」という話をしたいと思います。

この点の描写という点では、重版出来は物足りなかったかもしれません。このドラマでは週刊バイブスとライバル誌である週刊エンペラーの対決がフォーカスされていますが、出版業界の本当のライバルは競合他社ではなく他の娯楽です

漫画、そして小説などもそうですが、出版の売上が下がっているのはスマホゲームなどの他の娯楽に勝てていないから。そういう観点で見ると、ライバル誌との対立というのは少し古い視点だなと感じました。

普段から道歩けるスマホで楽しめるゲームと、紙の束を持ち歩かないといけない書籍、これだけでも出版は不利です。ですから、少しでもその差をなくすためには同じ土俵で戦わなければいけません。それなのに残念ながら書籍の電子化の歩みは遅いと言わざるを得ません。

もちろん電子書籍化を進めれば、本を売る書店であったり、紙を刷る印刷会社などに対するリスクが増えます。しかし、上にも書いた通り、いまや売れ行きの動きはネットから始まるケースがどんどん増えています。ですから、ネットユーザーが気軽に見れる媒体でなければ話題になりにくいことも真実です。

もちろん、他社よりもいい作品を、他人よりもいい作品を、という意識は大切です。しかし、書籍の本当のライバルは外の世界にあるということを認識できなければ出版業界はこの先も尻すぼみになっていってしまう可能性が高いでしょう。

ぜひ今回のドラマで出版業界を目指す人が増えて、業界に新しい風を入れていって欲しいですね。

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